歩くことで病気を防ぎ生涯健康であるために2

第2章 中強度歩行を始める前に

1) 運動強度を理解する

歩数だけを気にして、とにかく1日1万歩を目標にして歩いても、あまり効果がないことはお判りいただけたのではないでしょうか。効果がないどころか、逆効果で病気を招いてしまうことがあるとなれば、自分が掲げていた目標を一度見直してみようと思われている方も多いと思います。

せっかく見直すのであれば、質の良いウォーキングができているかどうかを考えてみてください。そして、これからウォーキングを始めようとしているのであれば、質の良い歩行ができるように、歩行についての理論を少しばかりかじってみてはいかがでしょうか。

まず、中強度の歩き方をするには、運動強度についても理解していただく必要があるかと思います。この運動強度の定義が不明であれば、自分にとってどの程度が中強度に該当するのかあやふやなままになってしまいます。イメージだけで中強度で歩いているつもりでも、人から見れば中強度以上に見えることもあるでしょうし、逆にまったく運動にはなっていないように見えてしまう歩き方もあるかもしれません。

この運動強度には単位があります。

それはメッツと呼ばれるもので、基本は安静にしている時で1メッツとします。たとえば、テレビを見ている時などは1メッツに相当すると考えていいでしょう。そして、安静時に対してどの程度のエネルギーを使っているかで数字が上がっていくわけですが、1メッツ時には1分間に体重1キロにつき3.5ミリリットルの酸素が摂取されていて、年齢や性別によって変わることはありません。たとえば、3メッツは1メッツ時、つまり安静時の3倍のエネルギーを消費しているということになります。

最大メッツは20数メッツとされていますが、20メッツ以上ともなればマラソン選手、しかもオリンピックで優勝するほどのエネルギーを消費した場合と考えていいと思います。そう考えると、アスリートではない健康のためのジョギング程度であれば、6~7メッツ程度かもしれません。

そして、メッツという単位で表す運動強度はエネルギー消費量の少ないほうから順に低強度・中強度・高強度の3つに分類することができます。これは2006年に厚生労働省が報告した「健康づくりのための運動基準2006~身体活動・運動・体力~」で示された性別や年代別の最大酸素摂取量標準値をもとにして分類したものです。つまり、最大酸素摂取量は年齢によって異なり、その差を考慮しているわけです。

たとえば、20歳代の方が階段の上り下りを行っても低強度の活動にしかなりませんが、70歳代後半の方にしてみれば中強度の活動となるでしょう。メッツからすれば階段の上り下りは3メッツに該当しますが、20歳代の方と70歳代後半の方にとっての3メッツには大きな違いがあることになります。逆に5メッツ程度の活動は20歳代の方にとってあまり負担に感じることはなく低強度の活動と言えるでしょうが、70歳代後半の方にしてみれば5メッツの活動は高強度に値することになります。

もちろん、その運動が何メッツでどんな強度の運動かなどと考えなくても、日常生活の中で実感していることかもしれません。
トイレに行くことは若い方にとっては低強度の動きですが、80歳代の方であれば中強度の活動に感じることでしょう。

2) 自分の中強度を知るには

運動強度の分類と年齢の関係について理解できれば、あとは自分にとっての中強度を知ればいいわけですが、自分にとっての中強度はどのようにすれば知ることができるのでしょうか。たとえば、活動量を計る活動量計といった専門機器を所持すれば一番いいのかもしれませんが、活動量計がなくても心配いりません。

では、どのような方法で活動量を計ることができるかと言えば、実際に自分の身体を動かしてみることでわかるでしょう。そして、酸素摂取量が最大となる時が高強度の運動だとすれば、中強度の運動は、最大酸素摂取量の4割から6割に相当する運動と言えます。

この最大酸素摂取量とは、息が苦しくなるまで走って限界に達した時に1分間に取り込む体重1キロ当たりの酸素摂取量ということになりますが、日本人の体格からすれば1分間に120歩歩いた時の運動が中強度の運動と言えるようです。もちろん、足の長さなどによって歩数の違いがあるとは思いますが、まずは1分間に120歩のペースで歩いてみましょう。

その後、3分経っても何とか会話ができるような歩き方ができるようであれば、それはあなたにとっての中強度の歩きとなっていることになります。ただ、会話ができなくなるような方にとっては高強度の運動であり、逆に3分経っても歩きながら歌が歌える方にとっては低強度の運動と言えます。つまり、同じ20分間を歩くにしても歩く速さを考えて、もっとも中強度に近い歩き方をすることをおすすめいたします。

3) 中強度の運動をする際の注意

これまでまったく運動をしてこなかった方が急に運動を始めようとする時、あるいは早く体力を付けようと運動強度を上げようとすることがあるかもしれませんが、まずは自分の中強度を見つけることが大切です。そこで、まずは3メッツから始めることをおすすめいたします。

3メッツは、前述の通り階段の上り下りに相当する運動ですが、普段の生活の中でできることを取り入れて試すことが一番です。気まぐれに速歩きを実践したり、フィットネスクラブで一時的に体力を使うのではなく、毎日続けられるかどうかがポイントで、何とか会話ができる強度の運動を一生続けていくつもりで実践していただければと思います

ただ、歩く時は歩幅に気を付けてください。

実は、歩くことに自信がない方の場合、歩幅が狭くなっていることが関係しているのかもしれません。特に、老化現象が進むと歩く時のバランスが悪くなり、バランスを取るために歩幅が狭くなってしまいます。歩幅が狭くならないように意識すれば、ピッチが上がり歩き方も早まってくるはずです。理想的な歩き方のフォームとしては、背筋を伸ばして腕を大きく振って、膝を伸ばして大股で少し早めに歩くことです。

そして、スポーツジムなどで指導を受けて、正しい姿勢で適正な歩行運動を行っている方もいるわけですが、さまざまなトレーニング機器が揃っていることもあり、必死になって筋肉トレーニングに励む方も多く見かけます。中には歩くための体力を付けようとして間違った筋トレを行っている方も少なくありません。

実は効果的な筋トレとは、最大筋力の6割程度の負荷をかけて行うのが最も適しているとされていますので、100キロのバーベルを上げることのできる方であれば、60キロのバーベルを8~15回ほど上げるのが最も適していると言えるでしょう。楽な重さのバーベルを100回・200回と回数だけ多く上げてみても負荷がかかっていないために筋力アップにはなりません。

まず、歩くための体力ということで筋力アップを図るにしても、ご自身の歩く速さを考えた上で筋力トレーニングが必要かどうかを検討していただければと思います。そして、筋トレが必要かどうかの目安になるのが「年代別の歩く速さと健康状態の関係」です。

たとえば、60歳代後半の男性が5メートルの距離を普段の速さで歩いて5秒以上かかるようであれば筋トレが必要と言えるでしょう。おそらく加齢に伴って歩行能力が衰え始めていると思われ、その歩行能力が次第に体力水準や健康状態を反映するようになると思います。また、歩行運動は筋力だけでなく平衡性や柔軟性、持久力などが関わってくるので、歩行運動の低下はそういった機能や質の低下を意味することになります。

つまり自分がどんな健康状態にあり、老化がどの程度進んでいるかなどの目安となるのが歩行運動であり、自分の中強度の歩き方を毎日続けることが年を取っても元気に過ごすコツと言えるでしょう。

参考文献:「あらゆる病気は歩くだけで治る!」医学博士 青柳 幸利 著

第3章 効果が現われ始めるまでの目安 >

参考文献著者紹介


医学博士 青柳 幸利氏
東京都健康長寿医療センター研究所
老化制御研究チーム副部長、運動科学研究室長

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