座りすぎをやめて健康寿命をのばそう!-5-

第5章 座りすぎ環境を見直す

1) 立ち上がるきっかけを作る

立って動くと言ってもあまりに普通のことで、毎日の生活の中にどのように取り入れたらいいのかわかりにくいかもしれません。そのため、わざわざハードな運動を始めたり、特別な健康法にとらわれて長続きしない場合も多いようです。

長続きさせるには特別な手段ではなく、毎日の生活の中で実践できる手段を選ぶべきではないでしょうか。そして、気軽に立ち上がれる環境を作る必要もあるでしょう。

その1つとして、30分に1回立ち上がると決めて、その時間を知らせてくれるツールのような物を利用してはいかがでしょうか。タイマーや、スマホのアラーム機能を利用する手もありますので、30分ごとの合図に合わせて立ち上がって動いてください。

また、目標を掲げるだけで意志が強くなるものです。オーストラリアでは、「できるだけ立ち、座りすぎないようにして、少しでも多く、ひんぱんに動こう」という標語が座りすぎの啓蒙活動に使われたそうです。目標や目的を文字にして掲げるとモチベーションが上がり、何とか達成しようという気持ちになるものです。

「30分に1回立ち上がる」とか「座りすぎに注意」といった自分なりの標語を文字にして目に入る場所に貼ってみましょう。

また、リモコンを使わないだけで座る時間が減るでしょう。リモコンを使わないことで、歩いてテレビのチャンネルを変えに行き、テレビまで歩いたついでにお茶を飲んだり、立ったついでに食器を洗ったりと、ちょっとした家事を済ませることができます。照明やエアコンなども、できるだけリモコンを使わないよう心掛けてみてください。

そして、用事をリストアップすることで立つ回数を増やすことができます。しかも、一度にすべての用事をこなすのではなく、3~5分程度で済ますことのできる用事をリストアップしておきます。たとえば、コーヒーブレイクの時間を設けたり、ゴミを捨てる、資料を取りに行く、といった用事をリストアップすれば、そのたびに立ち上がることになります。

文房具や資料は手の届く場所に置かずに、ちょっと離れた場所に置くだけで立ち上がって動く必要があり運動量が増えることになります。そういった用事が引き金となって、立ち上がって動くという目標も達しやすくなりますし、慣れてくれば用事がなくても立ち上がって動くことが当たり前になると思います。

2) 座ったままでもできる運動

ただ、職場の事情でどうしても立ち上がりにくい、席を離れにくいという場合もあるでしょう。受付のような仕事であれば30分に1回席を離れるのは難しいことでしょうし、会議中に立ち上がって動くわけにもいきません。

そういった場合は、足を動かすような工夫をしてはいかがでしょうか。たとえば、貧乏ゆすりをするだけでも血流が良くなりが、座ったままできる簡単な体操を取り入れていただければ、さらに血流悪化を防ぎ座りすぎによるリスクを減らすことができます。

この体操には2通りの方法があり、どちらも周囲に気付かれずにこっそり行うことができる血流改善のための体操で、「こそトレ」と呼んでいます。パソコン作業中や飛行機や車での長時間の移動中、長い会議の場でも実行できる体操です。映画館で長編の作品を見ている時などにも試していただければと思います。

その1つ目は、第3章でもご紹介したかかと上げ運動を座った状態で行うものです。もちろん立った状態で行う方が足に体重が乗り負荷も大きいわけですが、座った状態で行ったとしてもそれなりの効果があります。

体操の手順としては、座った状態で足を揃えてかかとをゆっくり上げていきます。この時、姿勢を崩さないように両手は太ももの上に置き、つま先に力を入れてかかとを上げるようにします。

次に、かかとをゆっくり床に下すという動きを5回以上繰り返してください。この動きによってふくらはぎのポンプが働くようになり血流悪化を防ぐことができます。この体操による血流の速度は、安静時の4倍にもなるという結果が出ていますが、車いすの方の体調管理にもお試しいただければと思います。

そして2つの体操が、座ったまま行う片足上げ運動で、大腿四頭筋つまり太ももの前面の筋肉を鍛える体操になります。第3章でもスロースクワットで大腿四頭筋を鍛えることをおすすめしましたが、座ったままでも大腿四頭筋を鍛えることができます。動きはとても簡単で、膝を伸ばして片足ずつ持ち上げて下すという繰り返しです。この時、つま先は天に向けてピンと伸ばすことで太ももへの刺激が増し、左右交互に5回以上繰り返してください。

デスクワークや会議中など、机の下でもできる足の体操です。その他にも足の指でのグーパーや、ふくらはぎを軽くもむことで血流が改善すると、足のだるさが解消します。

3) さらに環境を整えて立ち上がりやすくする

時間を知らせてくれる機能を利用したり、目標を文字にして貼り出したり、リモコンを使わないなど工夫することで立ち上がりやすくなり動きやすくなります。また、仕事中に立ち上がりにくい方であれば、「こそトレ」のような体操を試していただきたいわけですが、もう一つの工夫が環境作りです。

これまで、立って作業できる工夫などをご紹介してきました。スタンディングデスクもその1つであり、特にバランスチェアは立ち上がりやすさという点でかなりおすすめだと思います。バランスチェアは座った時の身体のバランスを取るために、筋肉に結構な負荷が掛かります。

そして、座り心地はいいものの、椅子の不安定感によって長い時間座り続けることができずに立ち上がりたくなってしまいます。この椅子を利用している方は、姿勢が良くなって腰痛が改善するといった効果を感じているようです。

また、研究室では靴を脱ぐこともあって、足元に心地よい感触のマットを敷くことがあります。実験中ではありますが、立って作業する時も、立ち上がろうとする時も、マットがあることが腰痛予防になるでしょう。さらにアメリカでは、職場ではスーツにスニーカーというスタイルも浸透しているようです。

4) 無意識に立って動いて健康寿命を延ばす

これまで立つことから動くことについてのルールや工夫についてお伝えしてきました。30分に1回立ち上がって動くこと、デスクの下で足をできるだけ動かすといった内容でしたが、こういった行動がだんだん身に付いていけば、身体が立ち上がることを覚えて自然と立っている時間が長くなっていくと思います。

ある方のお話では、テレビを見ていてもCMのたびに立ち上がって体操をしたり軽く掃除をしたりと、ちょこちょこ動くようになったそうです。

仕事場でも、腕時計の時報に合わせて1時間に1回立ってちょっと動き、しかも作業の合間に腰を浮かせるといった工夫もされたようで、血圧やお腹周りに良い効果が現われてきたようです。

おそらくそういった立って動くという流れが当たり前になれば、エレベーターを使わずに階段を利用するようになるでしょうし、電車やバスで立っていることもあまり苦にはならないでしょう。歩き方も早歩きになるかもしれませんし、20~30分程度であれば歩こうかと思うかもしれません。そして、いつの間にか行動パターンが変わり、気持ちの持ち方も変わってきます。体力や筋力だけでなく気力も回復して若々しく健康になることでしょう。

座りすぎを意識することで立って動くようになれば、より以上の中強度の運動を始めようかと思われる方も多いようです。1日60~75分の運動を行うことで座りすぎをリセットできるというデーターもありますが、地道にできる範囲で行えばいいのではないでしょうか。

犬を飼い散歩させることが運動になりますし、起伏の多い土地に住み徒歩での移動が日常的な方は、それだけでもかなりの運動量になります。そういった方は、スポーツジムなどに通わなくても身体が鍛えられて健康長寿につながっているようです。もちろんそういった特別な環境ではないとしても、家の中の面倒なことや手間のかかることも、楽に済まそうとせずに身体を動かしていただければと思います。

参考文献:「長生きしたければ座りすぎをやめなさい」早稲田大学教授 岡 浩一朗 著

第1章 座りすぎが招くリスク >

参考文献著者紹介


早稲田大学教授 岡浩一朗氏
早稲田大学スポーツ科学研究科
岡 浩一朗 研究室

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