座りすぎをやめて健康寿命をのばそう!-4-

第4章 立つ生活で身体が目覚める

1) 立つ生活を実践した方からの報告

座りすぎの危険を知り、立つ生活を実践していただいている方も増えているようです。工夫して立って動く回数を増やしていったことで効果が出ているという方もいれば、職場が立ち仕事のできる環境に変わってきたという方からも良い報告がありました。特に目立つのが、最初は立っていると疲れると思っていたけれども、それまでは夕方になるとどっと出ていた疲れが感じられなくなったという意見です。

また、30分に1回立ち上がるように意識していたら、3ヶ月ほどでお腹周りが引き締まってきたという報告もありました。肩や首がこらなくなったという方も大勢いらっしゃるようです。その他にも、立ち上がることで気分転換できてストレス解消になっているとか、血の巡りが良くなったと感じている方もいるようです。

身体の変化だけでなく、心の変化を感じる方も多いのでしょう。身体が軽く感じられると、動きが活発になり気分爽快で元気になれるものです。最初は、30分に1回立ち上がるだけで、どれほどの効果があるのかと半信半疑で始めた方も、実際に変化を肌で感じると、がぜんやる気が出てくるのではないでしょうか。

腰痛や背中の痛みは同じ姿勢でいるとなかなか解消されませんが、立ち上がってちょっと身体を動かすことで筋肉や骨格が調整されて楽になることがあります。それは、動くことで身体のあちこちが目覚めているということで、身体の目覚めは健康面への影響だけでなく、働き方や人間関係、そして生き方の変化にも及ぶはずです。

2) 研究データーの結果

では、立って歩くことが実際にどんなデーターとなって表れているかと言えば、まずは血糖値の数字です。血糖値は糖尿病の危険を示す数字ですが、予備軍を含めるとすでに患者さんの数は2,000万人と言われています。現在血糖値が高めの方や、お腹が出てきたという方、体重増加が気になる方は、すでに糖尿病予備軍と言えるかもしれません。糖尿病は、運動不足や生活習慣が原因となることが多く、当然座りすぎの生活は糖尿病のリスクが高くなってしまいます。そこで、座りすぎを意識して減らし、立つことで動くことが増えれば糖尿病予防になると思います。

実は、この血糖値が改善されたという研究データーがあります。ある研究は成人19人に対して行ったもので、5時間座り続けるグループ、20分ごとに立ち上がりちょっと歩くグループ、20分ごとに立ち上がりしっかり歩くグループに分けて、1時間ごとに合計5回の採血を行うという実験です。この実験では食後の血糖値や血糖値を下げるホルモンの分泌、インスリン濃度の数値などを計り、立ち上がったグループはどの数値も下がっていたという結果が出ました。特に、食後の血糖値は11%抑えられたということです。

また、ある研究では健康な男性15人を対象に、中性脂肪の数値の変化を調べました。やはり3つのグループに分け、7.5時間座り続けるグループ、45分ごとに座って立つことを6回繰り返すグループ、30分ごとに立ち上がり歩くことを繰り返すグループの、翌日の食後の中性脂肪濃度を比べたものです。その結果は、45分ごとに立ち上がるグループは座りっぱなしのグループと比べてあまり大きな差はなかったようですが、30分ごとに歩いたグループに比べると、中性脂肪の濃度が18%低下していました。

3) 些細な運動で血液の数値が良くなる理由

こういった変化が起こる原因は、筋肉の活動量にあるのでしょう。運動量が増えることで筋肉の収縮が活発になり、血流も良くなり身体が目覚めて、代謝活動などによい影響が及びます。血糖値が下がるのは、グルコース輸送体と呼ばれる糖の取り込みを促す輸送体の働きが活発になり、血液から細胞に糖が取り込まれやすくなるため、血中の血糖値が下がりやすくなるわけです。

また、筋肉の活動量が増すことでリポ蛋白リパーゼの働きが活発になり、中性脂肪の分解が促されるようになります。このリポ蛋白リパーゼを活性化させるには,ある程度の運動量が必要であり、立ち上がるだけでなく歩くような運動が必要になってきます。

その他にも、立ち上がることで血管の機能も改善しやすくなります。たとえば、善玉コレステロール値が増加したという報告もあり、善玉コレステロール値が増加することで動脈硬化や狭心症や心筋梗塞などのリスクを減らすことにつながります。さらに、がんにも効果があるという報告があります。

例として、オランダで行われた研究を上げることができますが、この研究では仕事中の座位時間が1日2時間未満の男性の場合、6~8時間座って仕事をしている男性に比べて結腸がんのリスクが37%低いという報告がありました。

足の筋肉を動かすことで身体中のさまざま筋肉が動き始め、糖や脂肪の吸収が促されて血液の中が掃除されることになります。座りすぎは、自分の力で健康を維持しようとする身体に備わった機能を奪っているのかもしれません。まずは、立ち上がって動いてみてはいかがでしょうか。

4) 動くことで起こる意識や感情の変化

座っている時間を減らし立つことで身体の機能が改善するわけですが、その変化は身体だけでなく意識の変化にも及ぶでしょう。たとえば、北欧やオーストラリアではスタンディングデスクを取り入れるオフィスが増えているようですが、日本でも楽天や三菱商事、日本マイクロソフトやグーグル日本法人などさまざまな企業で、高さを変えられるスタンディングデスクを取り入れています。その机は使い始めこそ違和感があるようですが、慣れてくると立ち仕事の良さを身体で感じて、立ちたくなるという声も多く聞かれるようになるようです。

職場に、立って行う作業台を取り入れた結果についての報告がいくつかあります。オーストラリアの20歳から65歳を対象にした研究の場合は、仕事場での座っている時間が1日143分減り、それ以外の起きている時間についてもトータルで97分座っている時間が減るという結果が出たようです。

また、オーストラリアの別の実験では、座っている時間が73分減少して、立っている時間が65分増加したという報告もあります。さらに、アメリカでも同様の実験が行われ、4週間にわたる実験の結果、座っている時間が1日66分減少して、腰や首の痛みが楽になり、気分も良好になったという報告がありました。

このアメリカの実験からもわかるように、立ち仕事を取り入れることで、血中の数値が改善するだけでなく、疲れにくくなり身体のコリが減少し、頭や目の疲れも軽減するようです。こういった変化は、仕事の効率を上げて働き方を変え、社内のコミュニケーションまでも変えるのではないでしょうか。

そこで、立ち仕事を体験された方たちからの健康面以外の良い点をご紹介したいと思います。まず、仕事そのものに対する意欲や考えが変わったという声が多く寄せられました。頭がさえて集中力が高まった、作業効率が上がりいいアイデアが浮かぶという方もいます。仕事に対して前向きになり、ポジティブ思考となって仕事に満足できると感じる方も多いようです。こういった変化は、動くことで筋肉の収縮が身体中に伝わり、脳を刺激することにもなるからでしょう。

さらに、意欲や思考の変化だけでなく、実際に職場での動き方にも変化が現れるようです。フットワークが軽くなり面倒だと思うことが減り、黙々と座って作業を行っていた時よりも、動くことで会話が増え社内のコミュニケーションがとりやすくなり、活気のある職場へと変わることができるでしょう。

デスクワークは座ってするものと思われてきましたが、立ち上がって動くことが健康につながり、生産性を上げるのであれば今からでもその環境を変える価値はあるでしょう。そして、職場だけでなく家庭にも取り入れていただき、子供たちの体力低下や肥満を解消し、学力向上のためにも座りすぎをやめて動くことを奨励したいと思います。もちろん、高齢者の方たちも満たされた良い老いを感じるために、立ち上がって動いていただければと思います。

参考文献:「長生きしたければ座りすぎをやめなさい」早稲田大学教授 岡 浩一朗 著

第5章 座りすぎ環境を見直す >

参考文献著者紹介


早稲田大学教授 岡浩一朗氏
早稲田大学スポーツ科学研究科
岡 浩一朗 研究室

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