座りすぎをやめて健康寿命をのばそう!-3-

第3章 健康寿命を延ばすための工夫

1) 座り方を見直す第1歩

具体的に座りすぎを防ぐために、どうやって座っている時間を減らしていけばいいのか考えてみたいと思います。

座ることと相反する行為は動くことになるわけですが、動く前に立ち上がる必要があります。動くという行為の中には歩くことや走ることも含まれるわけですが、立つことも動きの1つであり最初の身体活動になります。つまり、立つことが糖尿病や心臓病などの生活習慣病のリスクを減らす第1歩だということです。

座っている状態から立ち上がりさえすれば、次の動きが続きます。姿勢を変えたり、足を動かしたり、さまざまな動きが可能になり、そのために筋肉を使うことになります。筋肉は使わなければ筋力が衰え、関節も動かさなければだんだんに動きにくくなってしまいます。こういった動きは足の筋肉の衰えを防ぎ、筋肉のポンプがしっかり働くようになれば血流の悪化を防ぐことにつながります。座り方を見直すことはそれほど難しいことではなく、まずは重い腰を上げて立ち上がることを意識していただければと思います。

おそらく座りすぎの方の場合は、1度座ってしまうとなかなか立ち上がろうとせずに、テレビの前に座れば立って何かをするのがおっくうになり、座ったままでなんでも済まそうとするのでしょう。机の前に座って作業をする場合も、できるだけ立ち上がらずに作業する方が効率がいいと思っているのではないでしょうか。そして、座りすぎてしまうことで代謝が下がり身体が重く感じられて、ますます立ち上がろうとせずに座り続けることになります。私たちの環境は、座ったままでも不便を感じずに生活できるほど便利になっているわけですが、座りすぎが当たり前になってしまう要因かもしれません。

そこで、今のうちに意識して立ち上がる習慣をつけていただければと思います。たとえば、ペースを決めて立ち上がってみてはいかがでしょうか。

そして、ペースを決めて立ち上がる場合も、ただ立ち上がるだけでなく、そのついでに歩いたり身体を動かしたりすれば、さらに座りすぎリスクを減らすことができるでしょう。たとえば、30分から1時間に1回は立ち上がって身体を軽く動かしてみてはいかがでしょうか。

おそらく、立ち上がるような用事がないとか、立ち上がることで作業を中断したくないという方もいるかもしれませんが、立ち上がるのは用事をこなすための手段ではなく、立ち上がること自体が目的だと思うように意識していただきたいと思います。座りすぎで起こるさまざまな弊害は、十分お伝えしてきたつもりですが、意識して座りすぎを変えようとしなければ、その弊害が現実のものとなってしまいます。

2) 立ち上がることのメリット

座りすぎで起こるリスクを知っていただいた上で、立ち上がることのメリットをお話ししたいと思います。まずに、座った状態から立つという動作についてです。じっと座った状態でいると、ほとんど足の筋肉は使われていないはずです。ところが、立ち上がるという動作は簡単なようですが、ふくらはぎの筋肉などさまざまな筋肉を使わなければできない動きです。それまで座っていたのであれば、立つことで突然身体の重さを支えなければならなくなり、足の筋肉にはかなりの負荷が掛かることになるでしょう。

たとえば逆立ちをイメージしていただくとわかりやすいかもしれません。普段は腕に体重が乗ることはないわけですが、逆立ちをすると肩や腕に体重が乗り、筋肉を総動員しなければ逆立ちで身体を支えることはできません。座った状態から立ち上がるということは、逆立ちと同じような状態になるということです。そして、思っている以上にエネルギーを使うことになります。

また、立った状態から再び座って、さらにもう一度立ち上がって座るという動きを続けると、その動きは筋トレのスクワットと同じような動きになります。このスクワットの動きは、特に太ももの筋肉を使うことになり、太ももの筋肉を使うことは身体に大きな影響を与えます。たとえば、カウンター業務を行っている方などは、座って行う作業も多いわけですが、立ったり座ったりを繰り返すようなことも多く、仕事をしながら太ももの筋力アップを行っているようなものです。

たとえデスクワーク中に席を離れるわけにはいかないとしても、その場で立つだけで血流が良くなり身体の状態は改善するでしょう。
そして、もう一度座った時の姿勢も変わるはずです。手を伸ばして届く物も立ち上がって取るというだけで効果があると思います。

さらにおすすめしたいのが座った状態から立ち上がって、そのまま歩いたりちょっと動くことで足の筋肉を使えばより運動効果が高まります。

30分に1回立ち上がり2~3分、あるいは1時間に1回立ち上がり5分ほど動いてください。それだけの動きを続けるだけでも、糖や中性脂肪などの数値が変わって来るようです。

また、脚部の筋肉の電気的な活動の様子を波形で観察すると、立ち上がった時に大きな波形が現れ、4歩歩いただけで波形が激しく揺れ出します。逆に座った状態では、波形はほとんど変化しません。

そういったことから、糖尿病や心臓病などのリスクを減らすには、立ち上がるだけでは十分ではなく、立ち上がってから数分間歩いたり動いたりすることをおすすめしています。

おそらく健康を維持するために歩いたり、運動する必要があると思われている方は多いと思いますが、特別頑張って運動する必要はなく、座り続けずに立ち上がってちょっと動くことを実践していただければと思います。

3) 立って動くことを習慣にするために

立って動くと言っても、最初は自分に言い聞かせて繰り返さなければなかなか習慣化しないでしょう。ただ、効果があることがわかりさえすれば、あまり無理をしなくても続けられるのではと思います。その効果として、ダイエットが期待できるかもしれません。お腹周りが気になる方、メタボでダイエットが必要な方、そんな方におすすめしたいのが30分ごとに立ち上がって数分間歩くことです。

1キロ痩せるためには、7,000キロカロリーの消費が必要だと言われていますが、1日の労働時間を8時間として30分ごとに2分間歩くだけで半年で1キロ、1年で2キロダイエットできる計算になります。もちろん、単純に計算通りに行くとは思いませんが、立って動くことを続ければ、ある程度の効果は得られると思います。

また、人の活動量はメッツという単位で表すことができますが、横になったり座った状態は1.5メッツ以下の座位行動となり、緩めのストレッチや軽めの家事は低強度身体活動となり1.6メッツから2.9メッツに値します。その1.6メッツ以上の活動を増やすことを考えていただけければと思います。

書類を棚に戻しに行ったり、机周りを整理したり、ゴミを捨てたり、コーヒーを入れに席を立つこともわずかな低強度運動になるでしょう。

家の中でも新聞や郵便物を取りに行ったり、植物に水をやったりすることで低強度の運動になりますので、面倒がらずに身体を動かす習慣をつけていただければと思います。

4) プラスαのついでの体操

そして、立ち上がった時の動きに体操を取り入れていただくと、一層運動効果を高めることができます。その体操は、ふくらはぎと太ももを刺激する簡単な2種類の体操です。1つ目は、かかとを上げてゆっくり背伸びする運動です。かかとを2秒上げて2秒下げるといった程度の運動で、ふくらはぎの静脈の血流悪化を防ぎ、むくみ対策にもなります。

2つ目は、ゆっくりしゃがんで伸ばすスロースクワットです。この動きは太ももを刺激して大腿四頭筋を鍛えますが、さらに刺激が身体中に伝わり代謝もアップするでしょう。こういった簡単な体操や運動を繰り返すことで、筋力の衰えを防ぎ身体が丈夫になり、寝たきりにならずに健康で長生きできるでしょう。

参考文献:「長生きしたければ座りすぎをやめなさい」早稲田大学教授 岡 浩一朗 著

第4章 立つ生活で身体が目覚める >

参考文献著者紹介


早稲田大学教授 岡浩一朗氏
早稲田大学スポーツ科学研究科
岡 浩一朗 研究室

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    あしふみ健幸ライフ
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